しつけはなんのため?
そもそも犬のしつけは、何のためにするのでしょうか?
「人に迷惑をかけないため」
・・・人間中心の社会で、しかも都市部に暮らす場合には、最も重要な目的はこれに尽きると思います。
ちなみに、私が考える「しつけ」の定義は…
『社会や家庭でいかに振る舞うべきか、必要な経験を積ませ・ルールを教えること』
その為に必要なのが、飼主さんが犬を制御できる事であり、社会での適切な振る舞いを教える事です(だからこそ飼主さん自身で・・・もういいですね(笑))。
人里離れた山奥にでも暮らしていれば別かも知れませんが、犬にとっては自然な振る舞いも、都市部で暮らす場合には、その多くが迷惑行為となりえます。
「しつけ」と聞くと誰もが思い浮かべるであろう、「オテ」「オスワリ」「マテ」など。
これらはあくまでも、(人間社会に生きる犬たちに)適切な振る舞いを教えるための、「手段」でしかありません。
非常に残念なのが、それらのコマンドを教える事を、「目的」と捉えてしまう方が多いことです。
例え沢山のコマンドを覚えていても、社会での適切な行動に結びつかないのであれば、それは所詮ただの曲芸であり、飼主さんの自己満足にすぎません。
例えば何かの大会で優勝する様な「自慢のウチの子」も、通り過ぎる自転車に吠えかかる様では、家庭犬としては只の「ダメ犬」なのです。
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人に飛びつく(噛み付くなどは言う迄もなく論外です!)
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自転車やバイクに向かって、吠えかかったり突進したりする
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他所の人や犬などに吠えかかる
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吠え声で近隣に迷惑をかける
などなどの「迷惑行為」を一切しなくなって、はじめて「しつけ」の出来ている犬であると言えます。
色々と悩みがある場合にも、「他人に迷惑をかける行為」があるのであれば、できるだけその矯正トレーニングに優先的に取り組んで頂けたらと思います。
そして特に気をつけて頂きたいのは、上に例として挙げた様な、「相手の意思では回避できない迷惑行為」です。
上記、あえて厳しい表現を用いたのは、社会への迷惑を顧みない、残念な飼主さんのおかげで、犬たちが肩身の狭い思いをしているからです・・・(T−T)
<おまけ>
多少余談じみますが(そして手前味噌で恐縮ですが)、2013年6月まで私が飼っていた、ジャーマン・シェパード(♂)のゼロ。
教えた(覚えた)コマンドは・・・
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「おすわり」
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「お手・おかわり」 (これはやらせたがる人が多いので、実質的にその方達へのサービスとしてです(笑))
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「ダウン(=伏せ)」
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「ステイ(=そのまま待て)」
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「アップ(=上れ)」
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「おいで」
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「テイク(=指示された物を持ってこい)」
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「アウト(=口に入れた物を出せ)」
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「オフ(=口にするな・放っておけ・無視しろ)」
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「おあずけ」 ←親が勝手に教えました(笑)
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「よし(=食べてよし・取ってよし…などを意味する解除/許可コマンド)」
・・・概ねこの程度でした(日本語と英語がごちゃまぜで格好悪いですが^^;)。それでも、
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人に飛びついたり、自転車や走っている人を、追ったりする事など全くせず
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他所の人や犬に、吠えたり唸ったりすることもなく
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嬌声を発する子供に、雑に扱われても黙って耐え(これ以上は危ない(=威嚇する)かも…と言う時には口輪を付けていました)
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10人以上の子供達に取り囲まれて、好き勝手に触られても悠然とふるまい
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犬に吠えかかられても、まるで他人事のように無視し(11年の生涯で吠え返したのは二度だけでした)
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飼主さんが制御できないほどに、攻撃的な犬でない限り、あらゆる犬たちと友好的に接し
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度が過ぎる犬には、傷をおわせることなく教育的指導を行い
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猫や鳥なども(興味津々ではあるものの)無視してやり過ごし
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私の前を横切らず、もちろん引っ張ったりなどは絶対せず
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私が歩けば歩き、止まれば止まり
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軽いリード操作や身振りの誘導で、ついて欲しい位置につく・移動する
・・・といった振る舞いができ、そしてコマンドを出す事は殆どありませんでした。勿論ドッグカフェやドッグランでも礼儀正しくふるまえましたし、言うまでもありませんが、家庭内での問題行動や悪癖もいっさいナシです。
(自画自賛で恐縮ですが)家庭犬としては100点満点の、私が定義する「しつけ」の出来た犬と言って良いでしょう。
これは「ウチの子自慢」や「俺様自慢」がしたい訳ではなく(全く無いと言えば嘘になるでしょうが・・・^^;)、
『コマンドそのものは「手段」に過ぎず、それ自体が重要性なのでは無い』
・・・という事をお伝えする上での、分かりやすい実例だと思われるからです。
きちんと飼主の意図が犬に伝わり、望まれる振る舞いができるのであれば、沢山のコマンドなど必要ありませんし、指示をだすことさえ稀なのです。
※もちろん厳密には、ちょっとした身振り・アイコンタクト・表情・リードを使っての軽い合図・・・などで、指示に近い行為は必要に応じて行っていましたし、持って生まれた穏やかで興奮しない気質に負う所や、使役犬の代表格とも言える、ジャーマン・シェパードだからこそ出来た部分もあるとは思います。
ここで勘違いをして頂きたくないのは、「教えるコマンドは少ないほど良い」などと言っている訳ではないということです。
何度も触れました様に、相互の理解と信頼を築くためにも、コマンドを教えると言う行為は、とても有効かつ重要な「手段」です。
また、例えそれが所謂「曲芸」であっても、お互いが楽しめるのであれば、寧ろどんどん教えてあげて欲しいと思います。もっともっと仲良くなれるのですから!
ウチの犬の場合は(物覚えは抜群でしたが)明らかに「仕方なく付き合ってる感」炸裂で、無理強いをする意味がないので、結果的に少なかっただけです…^^;
<おまけ2>
最後に、これはもう完全に「自画自賛」以外の何物でもありませんが、甥っ子による散歩風景をご紹介させて頂きたいと思います^^;
※危険を伴いますので、決して安易に真似をしないでください!周囲の状況を常に確認し、いつでも私が制御できる状況下で行っています。
(ノーリードで何処でも散歩できるレベルまで、しつけが入った状態だからこそ可能なことで、これが出来る方は100人に一人もいません)
リードをもっている「ちっこい方の甥っ子」はナント2歳半です。ちなみに犬の体重は35kgくらいです。
(「おっきい方の甥っ子」は7歳半。本当は自分が持ちたくて仕方ないのですが、(しぶしぶ)弟に譲ってあげる優しい子です^^)
キチンと「しつけ」ができていれば、こんなちびっこにリードを持たせることさえ可能なのです^^b
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