知っておいて頂きたいこと
とても長いのですが最後までお付き合い下さい!
しつけ・トレーニングは、その取組みが早ければ早いほど、簡単かつ効果的です。
皆さんはきっと、「何を当たり前の事を・・・」と思われたことでしょう(笑)。
しかし、残念ながら殆どの場合、「問題行動が発生して(しかも手に負えなくなって)から」、がトレーナーの出番なのが現実です^^;
理想は・・・問題行動(人間にとって望ましくない行動)を起こさせる前に、望ましい行動習慣を身につけさせること、です。
ま、理想は理想として(笑)、「問題行動」と感じた場合には、一日も早くその対策に取り組んで頂けたらと思います。
一度ついてしまった(人間にとっての)悪癖は、矯正に多大な時間がかかります(内容次第ですが、月齢と同じ月数は覚悟すべし!とも言われています)。
また飼主さんから見れば問題行動でも、わんちゃんに取っては自身の欲求を満たす自然な行為ですので、放置することで日々強化されていってしまいます。
何れ直る悪癖・問題行動はありません
人に飛びつく・引っ張る・家具や靴をかじる・・・などなど。多くの方が悩まれる事態も、厳密に言えば確かに何れはしなくなります。
飛びつきや引っ張りは、15歳にもなればまずやる事はないでしょう・・・。寧ろ立ち上がれないことが悩みになったりする事でしょう。
破壊王として名を馳せるラブラドールも、運が良ければ5〜6歳で、家具や貴方の大事な靴の解体作業に、興味を示さなくなってくれるかも知れません。
多くの飼主さんは根拠も無く信じたがります。何れ(しかも近いうちに)落ち着いた犬になり、問題行動は直ってくれるのではないか・・・と。
敢えて断言しましょう。放っておいても直りません! 寧ろひどくなって行く可能性の方が高いでしょう^^;
年老いてその「問題行動」をおこす元気がなくなる、その日が来るまで待ちますか? 今スグに対処しますか?
「裏技」のような物はありません
例えば引っ張り癖のあるわんちゃん。私がハンドリングすると全く引っ張らずに歩く・・・という事も珍しくありません(勿論そうでないこともあります^^;)。
こうした場面を目にした飼主さんの多くが、「言う事を聞かせる魔法の様な技があるんだ!それを教えて!」となりがちですが、そんなものはありません(笑)。
(厳密に言えば無くは無いのでしょうが、その多くは私が受容しかねる、「犬に肉体的・精神的ダメージを与え、信頼関係を損ねる手法」でしょう。)
確かに、「リードを瞬間的に軽くクイッと引く」と言った様な、ちょっとしたコツが全く無くはありませんが、それは本質的なものではありません。
端的に表現するならば、「その犬に適した接し方をする」からであり、「犬が従いたくなるような行動を取れる」からです。
犬の本能や習性への理解・立ち居振る舞い・性格の把握・・・などを通じて、短時間のうちに信頼関係を築いたと言っても良いかも知れません。
その上での「小手先のテクニック」的なものですので、どうかそこに注目しすぎたり、囚われたりしないでください。
犬の扱いが上手な人は「犬を従わせる事に長けている」様に映りますが、実際は「行動の先読み」と「誘導」に長けているのです^^b
下手に真似をすると逆効果の場合もありますので、私がハンドリングする手法と、実際に飼主さんにレッスンする手法が異なる事もしばしばあります。
上から目線で恐縮ですが・・・
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「犬との関係がフラットな状態から、力量の高い人間がトレーニングを行う場合」
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「犬との関係にマイナスがある状態から、力量の高いとは言えない人間(失礼!)がトレーニングを行う場合」
・・・では、それぞれに適切な手法が異なる事が多いからです。
ですので、TV番組などで熱心に勉強されるのも、それ自体はたいへん結構なのですが、安易にその手法を真似しないでください。
(特にシ○ザー・ミ○ンの番組は、エンターテインメントとしては面白く、また参考になる面もあるのですが、迂闊に真似をすると非常に危険です)
更に言えば、ご相談内容と全く関係無い様なトレーニングを、例えば「一緒に遊ぶ遊び方」などを、提案させて頂く事もしばしばあります。
何故なら、大抵の場合その問題行動にはその原因があるにも関わらず、多くの飼主さんが「木を見て森を見ず」になってしまいがちだからです。
勿論「森を見て木を見ず」では皆さんが困るでしょうから、出来る範囲で「今そこにある悩み」を低減させる工夫やトレーニングを、アドバイスさせて頂きます。
とにかく忍耐・根気・時間が必要です
(例外的に)ゴールデン・ラブラドール・シェパード等に代表される使役犬などは、(こちらが拍子抜けする程に)色々と簡単に学習してくれることもあります。
ですが、一般的には月齢・年齢が上がる程、しつけ・トレーニングは思った様な効果が出ず、飼主さんの忍耐が続かずに諦めてしまうことが多々あります。
こういった場合に良く使われる言葉が、「馬鹿犬」でしょう。
確かに何かを教えることが難しい犬はいます(犬種で言えば日本犬をはじめ、ボルゾイ・アフガンハウンド・シベリアンハスキー等が代表格でしょうか)。
ただそれは、その犬が馬鹿なのではなく、あくまでも気質・性格・個性に過ぎません。また、(失礼ながら)飼主さんの力量不足が原因かも知れません。
子が親を選べない様に、犬もまた飼主を選べません。その犬を飼う事にしたのは、他でもない皆さん自身です。
皆さんが選んだ生活環境で暮らす事を強いる以上、そこで必要とされる躾・トレーニングを施すのは、飼主としての義務です。
適切な躾・トレーニングを受けられない犬は、多大なストレスに日々さらされ、問題行動に悩まされる飼主さん以上に不幸なのですから・・・。
中々成果が見えない努力は、継続する意欲が失せ・面倒くさいと感じ・投げ出したくなることでしょう。ですが、皆さんが諦めたらそこまでです。
敢えて刺激的な言葉を挙げさせて頂きます。私たちは、自らの怠惰を「馬鹿犬」と言う言葉で片付ける飼主さんを、「バカイヌシ」と呼んでいます。
どうか、根気よく諦めずに取り組んでください。先天的・遺伝的な異常を持つ余程に例外的なケースを除き、その努力が報われる日はきっと来ます。
今現在、悩まされている方には、俄には信じ難いかも知れませんが・・・
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全く手のかからない犬を飼っている方からは、「手が掛からな過ぎて物足りない・・・面白みに欠ける・・・」「手が掛かる犬の方が断然楽しい」
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昔の様にいたずらや問題行動をしなくなった犬の飼主さんからは、「あの頃がなつかしい・・・ものすごく大変だったけど楽しかったなぁ・・・」
・・・と言う発言を聞く事も、しばしばあります。
もしかすると「犬に悩まされる」のも、犬を飼う醍醐味の一部なのかも知れません^^b
仕事・家庭・恋人・付き合い・趣味・お金・・・人には日々の暮らしや色々な事情や都合があります。
犬を飼うということは、間違いなくそれらの何かを(しかも多くを!?)「犠牲」にする事なしには成り立ちません。
(ですが、適切な躾を施し、信頼関係を築いた犬との暮らしは、その「犠牲」の何倍もの幸せを与えてくれます!!)
問題行動を抱えたわんちゃんに割く時間など、どうやっても捻出できない・・・と言うのであれば、残念ながら(今の)あなたには犬を飼う資格がありません。
あなたがわんちゃんに出来ることは、ただ一つしかありません。その全てを受け入れられる「その犬に相応しい飼主さん」を見付けてあげてください・・・。
そして(少なくとも、必要なだけの時間や金銭を、十二分に費やせるようになるまでは)二度と犬を飼わないでください・・・。
頑張りすぎないでください
散々おどかしておいて何ですが、どうか頑張りすぎないでください(笑)。
勿論一生懸命に全力で取り組んでいただきたいのですが、結構多くの方が肩に力が入り過ぎて、必要以上に頑張ってしまうんですよね・・・^^;
肩に力が入りすぎることで・・・
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日頃は穏やかな人なのに、鬼軍曹になってしまったり
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短期的な成果を求めてしまい、成果がでないことに苛立ったり
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わんちゃんにとって負担に感じる接し方をしてしまったり
・・・いつの間にか日々の暮らしやトレーニングが、お互いにとって苦痛なものになってしまう危険性をはらんでいます。
トレーニングはあくまでも、お互いが楽しんで行っていてこそ効果があります。イライラしながら取り組む位ならば、何もしない方がよっぽどマシです。
過度の緊張を感じさせたり、ヒステリックに振る舞う飼主さんは、わんちゃんにとって恐怖の対象でこそあれ、信頼を寄せる相手では到底ありえません。
確かに、今目の前に悩みや問題行動があり、一秒でも早く何とかしたい!と言う、そのお気持ちは良く分かります。
ですが(物凄く失礼ながら)今のあなたには出来ないのです。
出来ないものは仕方ありません、今はあきらめてその現実を受け入れてください^^;
もちろん、自らが犬にとって信頼に値する飼主になる努力はおしまないで下さい。
ただ、自らの力量以上の成果を、わんちゃんに求めないでください。
今のこの瞬間だけに囚われず、これから共に過す長い時間に目を向けて、肩の力を抜いて気長に取り組んで下さい^^b